ギター練習ノートの書き方|続く4項目
練習ノートを作ったことがある人は多いと思います。そして、たいてい3日から2週間で止まります。
止まる理由は意志の弱さではありません。最初に決めた項目が多すぎるからです。テンポ、練習した小節、指使い、反省点、明日の目標——全部埋めようとすると、25分の練習に対して記録に3分かかります。それが毎日となれば、記録の方が練習より面倒になります。
そのまま使えるテンプレート(無料・登録不要)
この記事に書いた4項目だけを並べた用紙です。中身を見てから読み進めてもらって構いません。
CSVはGoogleスプレッドシートなら「ファイル → インポート」、Excelならそのまま開けます(日本語が化けないようにしてあります)。1行目は列の名前なので残したまま、2行目の記入例だけ消して使ってください。
結論書くのは4つだけ
| 項目 | 例 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 練習した時間 | 25分 | 後から見て唯一ごまかせない事実 |
| 何をやったか | 「小さな恋のうた」のAメロ | 次に開いたとき思い出す取っかかり |
| 詰まった場所 | 2番のサビ前、コードチェンジが間に合わない | これが記録の本体 |
| 次にやること | 同じ箇所を80BPMで | 次回の立ち上がりが一瞬になる |
慣れれば20秒で書けます。項目を増やしたくなったら、増やす前に「これを来週の自分が読むか」を考えてください。読まないものは書かなくていいです。
テンポ(BPM)を記録したい場合は、独立した項目を作らず「次にやること」に混ぜてください。 「F→Gだけ70BPMで」と書いておけば、次回それを80に上げられたかどうかで進歩が測れます。専用の欄にすると、テンポを決めていない日に空欄ができて、そこから崩れます。
なぜ記録が効くのか
理由は2つあります。どちらも「記憶力の問題」です。
1つ目は、次に触るときの立ち上がり。 記録がないと、ギターを手に取ってから「今日は何をやろう」と考える時間が発生します。3日空くと、前回どこで詰まっていたかはまず思い出せません。結果、なんとなく弾ける曲を最初から弾いて終わる、という日ができます。詰まった場所が1行書いてあるだけで、この時間がゼロになります。
2つ目は、上達が自覚できないこと。 ギターの上達は、毎日の変化としてはほぼ認識できません。昨日の自分と今日の自分の差は、聞き分けられる大きさではないからです。だから「1か月やったのに何も変わっていない」という感覚になり、そこで多くの人がやめます。
このとき効くのが記録です。1か月前に「Fのコードで音が全部詰まる」と書いてあれば、それが今どうなったかは比較できます。感覚では分からないものを、文字が代わりに覚えていてくれるわけです。練習が続かない仕組みそのものについては【9割が1年でやめる】ギター練習が続かない7つの理由と対策に詳しく書きました。
書き方の例
紙でも表計算でも、この形で足ります。
2026-08-09 / 25分
やったこと:小さな恋のうた Aメロ〜Bメロ
詰まり:Bメロ頭のF→G、コードチェンジが間に合わない
次回:F→Gだけ 70BPMで5分
表計算にするなら、列は次の5つです(配布しているCSVもこの形です)。
| 日付 | 時間 | やったこと | 詰まった場所 | 次にやること |
|---|---|---|---|---|
| 08-09 | 25 | 小さな恋のうた Aメロ | Bメロ頭のF→G | F→Gだけ70BPM |
「感想」の列は作らないでください。 「難しかった」「まあまあ」しか書けない列は、数週間後に読み返しても何の情報にもなりません。
書かなくていいもの
記録が続かない人のノートには、だいたい次のものが入っています。
- その日の目標:練習前に書く欄。書く時点では何をやるか決まっていないことが多く、空欄が並んで挫折の原因になります。4項目の「次にやること」と似ていますが、あちらは練習した直後に、詰まった場所を見ながら書く申し送りです。事前に立てる目標とは別物で、書ける確率がまるで違います
- 練習メニューの内訳を分単位で:ウォームアップ5分、スケール10分……という記録は、よほど計画的に練習する人以外は現実と合いません
- 長い反省文:翌日読み返さないものは書かなくていいです
- 点数付け:自己採点は日によってブレるので、後から比較できません。手応えを記号で残すこと自体は悪くありませんが、それは後から探すときの手がかりであって、上達の物差しにはなりません
記録が続かない3つの理由と対処
1. 練習後に書こうとしている
一番多い形です。弾き終わった直後はもう疲れているか、満足しているかのどちらかで、ノートを開く動機がありません。
対処:詰まった場所は、詰まった瞬間に書く。練習を止める必要はなく、スマホの標準のメモアプリに一言だけ放り込めば十分です。記録用の道具をわざわざ開くと、その手間で止まります。清書は後でまとめてやるか、しなくても構いません。
2. 毎日書こうとしている
「毎日つける」を目標にすると、1日抜けた時点で価値がなくなったように感じます。実際には、週2回の記録でも次回の立ち上がりには十分役立ちます。
対処:空白の日があってよい形にする。日付が飛んでいても困らない道具を選びます(紙のノートは日付が飛ぶと見た目が悪いので、意外とこれが向いていません)。
3. 記録が増えても何も見えない
3か月書いても、ノートを最初から読み返す人はいません。読み返さない記録は、いずれ書く意味を感じなくなります。
対処:合計時間や、練習した日の分布が自動で見える形にする。ここは紙や単純な表計算だと弱く、道具を変える価値があるポイントです。
紙・表計算・アプリ、どれを選ぶか
| 向いている人 | 弱いところ | |
|---|---|---|
| 紙のノート | 書くこと自体が好き/練習場所が固定 | 集計できない。日付が飛ぶと続けにくい。過去を探しにくい |
| 表計算(スプレッドシート) | 自分で項目を決めたい/すでに使い慣れている | スマホで開いて入力するのが面倒。列を凝ると続かない |
| アプリ | 練習の合間に片手で入れたい/推移を見たい | 項目が固定される。後からまとめて入力できる日数に制限があることも珍しくありません。データを他所へ移しにくい |
紙で足りているなら、それでいいと思います。 記録の価値の大半は「詰まった場所を次回の自分に渡すこと」で、これは紙でも達成できます。
道具を変える価値が出るのは、3つ目の「記録が増えても何も見えない」に当たったときです。合計時間の推移や、どの曲にどれだけ時間を使ったかは、手作業で集計するのが現実的でないので、そこで初めてアプリが効いてきます。
Fret Days で記録する場合
筆者が作っている Fret Days の場合を、正直な条件込みで書きます。利用には無料アカウントが必要です(クレジットカードの登録は不要)。
記録画面で入れられるのは次の5つです。
| 入れられるもの | 内容 |
|---|---|
| 練習した日付 | 今日から7日前まで |
| 練習時間 | 1〜1440分。手で入力するか、メトロノームを使った時間が自動で貯まる |
| 何の練習か | 曲リストの曲、または「ルーティン練習」という区分 |
| メモ | 自由記述(500字まで。超えた分は保存されません) |
| タグ | カンマ区切りで最大20個(1個あたり50字まで) |
「何の練習か」で選べる曲は、曲リストに登録した曲です。無料プランでは登録できる曲が20曲までなので、レパートリーがそれを超えている人はPROが必要になります。
4項目のうち「詰まった場所」と「次にやること」は、専用の欄ではなくメモ欄に2行で書く形になります。
この製品を選ばない方がいい場合も書いておきます。
- 後から記録できるのは7日前まで。「日付が飛んでもいい形を選べ」と上に書きましたが、2週間空けた分をまとめて入力することはできません。記録が実態から離れるのを防ぐための制限ですが、月にまとめて振り返りたい人には向きません
- 練習中に一言だけ放り込む用途には向きません。記録画面は練習時間の入力が必須なので、詰まった瞬間のメモはスマホの標準メモアプリの方が速いです。そちらに溜めた場合も、Fret Daysへ写すなら7日以内に済ませてください
- 無料プランで詳しく見られるのは直近90日分。それより前の記録も消えませんが、全期間を見るにはPROが必要です
- 書き出し(エクスポート)はまだありません。上の表で「アプリはデータを他所へ移しにくい」と書きましたが、この製品も現時点では例外ではありません
メトロノームを使うと、その時間が練習時間として自動で加算されます。「記録をつけるのを忘れる」への対処として、この形にしてあります(メトロノームは無料で時間制限なく使えます)。
記録と一緒にやっておくとよいこと
練習した時間だけを記録していると、「弾ける曲が増えているか」が別軸で見えなくなります。曲の管理をどうするかはYouTubeに溜めたギターの曲、結局どれが弾けるのか分からなくなる話に書きました。
また、「詰まった場所」を記録できるようになると、次は「その詰まりをどう潰すか」が課題になります。リズムが原因の詰まりならギターの裏拍が取れない|メトロノームを裏拍で鳴らす練習法、そもそも練習時間の組み立て方から見直すならギターの練習は1日何分?何時間?初心者の目安と15分メニューが参考になると思います。
まとめ
- 記録する項目は4つ。時間・やったこと・詰まった場所・次にやること
- 本体は「詰まった場所」。次に開いたときの自分への申し送りが目的
- テンポは専用の欄を作らず「次にやること」に混ぜる
- 目標欄・分単位の内訳・長い反省文・点数付けは書かなくていい
- 詰まった瞬間に、手元のメモアプリに書く。後でまとめて書こうとすると止まる
- 毎日でなくていい。日付が飛んでも困らない形にする
- 紙で足りているなら紙でいい。集計が欲しくなったら道具を変える
上のテンプレート(PDF / CSV)は、この4項目をそのまま並べたものです。まず1週間、埋めてみてください。
Fret Daysがどんな道具か見てみる → Fret Days を見てみる
この記事について:ギター練習記録アプリ「Fret Days」の開発者が書いています。記録できる項目・文字数の上限・後から記録できる日数・無料プランで閲覧できる期間・書き出し機能の有無は、実装を確認して書いています(当初この記事には、画面から既に廃止されている入力欄を紹介した誤りがありました。公開前のレビューで修正しています)。紙・表計算・アプリの比較は、どれが優れているという主張ではなく、それぞれが弱い場面を挙げたものです。
公開:2026-08-09