【9割が1年でやめる】ギター練習が続かない7つの理由と対策
2026年8月2日ギターを始めた人の約9割が、1年以内に弾くのをやめてしまう——これはFenderのCEOアンディ・ムーニー氏が2019年のインタビューで語った数字です(MusicRadar)。
正確には「同社のギターを買った初心者のうち9割」という社内の数字で、元になった調査データは公開されていません。それでも、やめていく人が大多数だという実感には合うはずです。
続かないのはあなただけではありません。そして、その多くは意志の弱さが原因ではありません。
結論:続かない理由は、だいたいこの7つ
| # | 続かない理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 1 | 指先が痛くて弾けない | 痛みが軽くなるまで2〜3週間。短時間を毎日に切り替える |
| 2 | Fなどのコードで詰まる | 指の力ではなく弦の太さや楽器の調整が原因のことがある |
| 3 | 家で音が出せない | 生音を小さくする/ヘッドホンで弾ける環境にする |
| 4 | 何を弾きたいかが決まっていない | 曲を1曲だけ決める |
| 5 | 上達している実感がない | 記録を残す。同じ曲・同じ箇所を月1回録る |
| 6 | 毎回「何をやろう」から始めている | 練習の順番を固定する。ギターはしまわない |
| 7 | 通しで弾くだけになっている | 詰まる場所だけを取り出して練習する |
そして、この7つ全部に効くのが「ブランクが空いたあとに戻れるようにしておく」ことです。最後に説明します。
以下、それぞれを詳しく見ていきます。
理由1:ギターの練習が続かないのは、単純に指先が痛いから
最初の壁は、気持ちの問題ではなく皮膚の問題です。
弦を押さえる左手の指先は、最初のうち確実に痛くなります。痛いから短く切り上げる、間が空く、また痛いところからやり直し——この繰り返しで離脱します。
毎日少しずつ触っていれば、たいてい2〜3週間で痛みは軽くなります。 ただし、しっかりした皮(タコ)が定着するまでには1〜2ヶ月かかります。3週間で皮ができないのは普通のことなので、焦らないでください。
逆に「週末に2時間まとめて」だと、痛みだけ強くて間が空くため、いつまでも痛いままです。
対策:1回の長さより頻度を優先する。 痛い時期は10分でいい。ただし毎日触る。
次の場合はその日の練習を中止してください。
- 指先の皮が破れた、水ぶくれができた(治るまで数日空ける。無理に続けると悪化します)
- 痛みが指先ではなく手首・指の関節に出ている
- しびれがある
特に手首の痛みとしびれは、フォームか練習量に問題があるサインです。数日休んでも治らない場合は、我慢せず整形外科を受診してください。 痛みは上達の途中経過ではありません。
理由2:Fが押さえられないのは、あなたのせいではないかもしれない
初心者が最も多く挫折するのがバレーコード(Fなど、人差し指で複数弦を押さえる形)です。
ここで知っておくべきことがあります。押さえられない原因が、楽器側にあることがあります。
まず試すべき:細い弦に替える
いちばん安く、すぐできる対策です。アコースティックギターなら**エクストラライトゲージ(.010〜)**に替えるだけで、押さえるのに必要な力がはっきり減ります。多くの場合は弦代だけで済みます。
ただし、弦を細くすると弦の張力が変わり、それに伴ってネックの反りや弦高がわずかに変化します。替えたあとにビビり(弦が指板に当たる音)が出るようなら、それはあなたの押さえ方ではなく調整の問題なので、楽器店で見てもらってください。
弦の交換は自分でもできます(工具は不要)。店に頼む場合は、弦代1,000〜1,800円ほどに加えて工賃が別途かかり、合計2,000〜2,500円が目安です。
なお古い弦は、張力が変わるわけではありませんが、錆や汚れで指が引っかかり、音程も不安定になります。長く放置していたなら、まず交換してください。
それでも硬いなら:弦高を見てもらう
弦と指板の距離(弦高)が高いと、同じ力でも押さえるのが格段に難しくなります。
このとき注意点があります。Fのような低いポジションが硬い場合、原因が「ナット」(1フレット側の弦を支える部品)の溝の高さにあることがあります。 ここが高いままだと、ブリッジ側だけ下げてもらっても軽くなりません。
対策:3週間まじめにやってFが鳴らないなら、練習量ではなく楽器を疑う。 楽器店では「1〜3フレットが硬いので、ナットと弦高の両方を見てほしい」と伝えてください。調整費は数千円から(ナットの調整も必要なら1万円前後になることもあります)。
理由3:家でギターの音が出せない
見落とされがちですが、これも大きな離脱要因です。集合住宅、家族が寝ている時間、壁の薄さ。「弾きたいけど弾けない時間」が続くと、そのまま触らなくなります。
- アコースティックギター:弦に挟むタイプのミュートが最も効きます。サウンドホールを塞ぐカバーは、単体では効果が小さいので補助と考えてください
- エレキギター:アンプに繋がなければ生音はかなり小さく、ヘッドホンアンプを使えば夜でも弾けます
対策:「音が出せないから弾けない」なら、まず環境を解決する。 練習法を変えるより先です。
理由4:ギターで何を弾きたいかが決まっていない
ここから先は、環境が整った人の話です。
「うまくなりたい」は目標になりません。方向がないからです。弾きたい曲が具体的に決まっている人ほど続きます。
やることは簡単です。
今いちばん弾きたい曲を、1曲だけ決める。
1曲です。5曲ではありません。5曲あると、その日の気分で選ぶことになり、選ぶ時点で気力を使います。
曲の選び方の目安:
- 使われているコードが4〜5個以内
- バレーコード(Fなど)が1個まで
- その場で試せる基準:コード表を見ながら、サビの進行をゆっくり1周、押さえ替えられるか。速さは無視して構いません。押さえ替えが1つもできないなら、今はまだ早い曲です
これより難しいと、数日で心が折れやすくなります。難しすぎる場合は、簡易アレンジの譜面を探すか、カポを使って押さえやすいキーに移すという手があります。
理由5:上達している実感がないと、ギターの練習は続かない
ギターの上達は遅く、そして自分では気づけません。
昨日と今日で弾けるようになったことは、ほとんどありません。1週間でも大差ない。だから「やっても意味がないのでは」という気持ちが溜まります。
ここで知っておくと気が楽になる研究があります。ある行動が習慣になるまでの日数を調べた研究では、平均66日、個人差は18日から254日と、非常に幅がありました(サリー大学 Dr. Pippa Lally)。
ただし、この「66日」を目標として使うのは正しくありません。 研究者本人が、この数字が独り歩きしていることを否定しています。また調査の対象は「水を飲む」「果物を食べる」といった単純な行動で、ギターのような技能の習得とは別物です。
ここから言えるのは1つだけです。2週間やって習慣にならなくても、あなたが遅れているわけではない。 個人差は10倍以上あります。
そのうえで、進んでいることを自分に見せる方法が記録です。
- カレンダーに練習した日だけ丸をつける
- 「今日はイントロが通った」と一行メモする
- 月に1回、同じ曲・同じ箇所・同じテンポで30秒だけ録音する
録音は特に効きます。ただし比較条件をそろえないと意味がありません。 違う曲を違うテンポで録っても、上手くなったのか分かりません。「月初にこの8小節を録る」と決めてしまうのが確実です。
理由6:毎回「今日は何をやろう」から始めている
練習が続く人と続かない人の差は、練習を始めるまでの手間にあります。
ケースを開ける → チューニングする → さて何をしよう → 教則動画を探す → 気づいたら30分経っている → 疲れたので明日にする。
対策は2つあります。
ギターをケースにしまわない
これが最も効きます。スタンドに立てるか壁に掛けて、座ればすぐ触れる状態にしておく。 ケースから出す動作が挟まるだけで、再開率は変わります。
やることを固定する
たとえば、こう決めてしまいます。
基本の20分メニュー
- チューニング(1分)
- 指の準備運動(3分)
- コードチェンジの反復(5分)── 例:C↔G を1分間で何回替われるか数え、回数を記録する
- 曲の難しい部分だけ(8分)── 後述の手順で
- 通しで1回弾く(3分)
気力がない日の5分メニュー
- チューニング(1分)
- コードチェンジの反復(2分)
- 曲を1回だけ通す(2分)
大事なのは内容の完璧さではなく、考えずに始められることです。5分の日でも「触った」事実は残ります。
理由7:ギターの練習が「通しで弾く」だけになっている
曲を頭から弾いて、いつも同じ場所で詰まって、そこで止めて、また頭から弾き直す。これを繰り返すと、曲の前半だけ上手くなり、後半は永遠に弾けないままになります。
難所の練習には手順があります。
手順1:詰まる場所と、その前後1小節を切り出す
前後を含めるのが重要です。 難所だけを単体で弾けるようになっても、前から繋ぐと落ちるのは、入口と出口の繋ぎ目を練習していないからです。
手順2:指使いとピッキングの向きを決めて、書き留める
弾けない原因の多くはテンポではなく、毎回違う指で押さえていることです。決めないまま繰り返すと、間違いを速く固めるだけになります。紙に書くか譜面に書き込んでください。
手順3:まずメトロノーム無しで、指の形を固める
いきなりメトロノームに合わせないでください。 クリックに間に合わせようとして、雑なフォームのまま速く弾く癖がつきます。
拍を自分で数えながら、止まってもいいのでミスなく1回通せるまで、テンポは自由でやります。
手順4:通せたら、原曲の50〜60%のテンポをメトロノームに設定する
ここで初めて数字を使います。原曲のテンポ(BPM)は譜面か動画の説明で確認してください。
例:原曲が160bpmなら、80〜96bpm から始めます。
※「60bpmから」のような固定の数字は使わないでください。曲によっては原曲とほぼ同じ速さになってしまいます。
手順5:3回続けてミスなく弾けたら、5bpm上げる
失敗が2回続いたら、1段(5bpm)下げます。この上げ下げを機械的にやるのがコツです。「もう少しで弾ける気がする」で速いまま粘るのが、いちばん時間を無駄にします。
手順6:数回できたら、いったん別の場所へ移る
ここは直感に反するかもしれません。同じ場所を延々と繰り返すより、複数の箇所を行き来する方が良い可能性があります。
上級のクラリネット奏者10名を対象にした小規模な研究では、同じ内容を続けて反復する練習より、複数の課題を交互に練習した方が、翌日の演奏がやや良い傾向が見られました(ただし著者自身が効果は控えめだと述べています/Optimizing Music Learning)。
初心者にそのまま当てはまるとは限りませんが、少なくとも「30分ずっと同じ4小節」に固執する必要はありません。「難所A→難所B→通し→難所A」と巡回する形を、一度試してみる価値はあります。
理由8にしないために:ブランクが空いたあと、戻ってこられるか
※これは8つ目の理由ではなく、上の7つ全部に効く話です。
練習が途切れること自体は、問題ではありません。 仕事が忙しい時期もあれば、体調を崩すこともある。誰でも空きます。
問題は、空いたあとに戻ってこられないことです。
3週間空けてケースを開けたとき、こう思います。
前に何をやってたんだっけ。どこまで弾けてたんだっけ。……まあ、また今度でいいか。
「3週間サボった」ことが問題なのではなく、「思い出せない」ことが問題なのです。
だから、理由5で書いた記録がここで効きます。ブランク明けの手順を決めておくと、さらに戻りやすくなります。
ブランク明けの3ステップ
- チューニングだけする(弾かなくていい)
- 前回の記録を見て、最後にやっていた曲と箇所を確認する
- その箇所を、前回より遅いテンポで1回弾く
ゼロから思い出す必要をなくすこと。「毎日やる」より「戻ってこられるようにしておく」方が、長い目で見ればずっと大事です。
まとめ
全部やる必要はありません。今日変えられることを1つだけ選ぶなら、ギターをケースから出してスタンドに置くことです。
その次は、弾きたい曲を1曲決めること。記録はそのあとで構いません。
記録を残すのが面倒な人へ
ここまで読んで「記録が大事なのは分かったが、毎回書くのが面倒」と思った方へ。
私たちが作っている Fret Days は、この手間をなくすための練習記録アプリです。無料でどこまで使えるかを正直に書いておきます。
無料でできること(カード登録は不要)
- 練習時間の自動記録 — 道具を使った時間がそのまま残るので、自分で書く必要がありません
- メトロノーム(制限なし)
- ドラムパターン 2種類(8ビート・4つ打ち)は制限なし
- コード練習(キーCの8コードから4つまで選んで進行を作れます)
- 曲の登録(20曲まで)
- 記録の閲覧(直近90日ぶん)
- 練習メニューの保存(1件・5項目まで)
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- 曲ごとの詳しい記録(どこが弾けて、どこで詰まっているか)
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参考:US$4.99は約800円前後です(2026年7月末の為替レートで換算。実際の請求額は、そのときの為替とカード会社の海外事務手数料によって変わります)。
録音については補足があります。 この記事で勧めた「月1回の録音」は、スマホの標準の録音アプリで十分できます。 お金をかける必要はありません。Fret Daysの録音メモは、それを曲や日付と紐づけて後から聞き比べやすくするものです。
道具はあくまで道具です。続くかどうかを決めるのは、この記事に書いた7つの方で、アプリはその手間を減らすだけです。まずはギターをスタンドに置くところから始めてみてください。
この記事について:ギター練習記録アプリ「Fret Days」の開発者が書いています。
記事中の数字・研究には、確認できた出典へのリンクを添えています。ただし性質が異なるので分けて書いておきます。
- 習慣形成の日数・練習方法の比較研究:論文および研究機関の公式ページで内容を確認しました。対象人数や効果の大きさなど、元の研究が述べている限界も本文に書いています
- Fenderの「9割」:CEOのインタビュー発言が出典で、元の調査データは公開されていません。数字の扱いには注意が必要です
無料プランでできることの記載は、記事公開時点のアプリの実際の動作と1つずつ突き合わせて確認しています。仕様が変わった場合はこの記事も更新します。
更新履歴:2026-08-02 公開